○八潮市環境基本条例
平成19年12月19日
条例第29号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第6条)
第2章 環境の保全等に関する基本的施策等
第1節 施策の策定等に当たっての環境優先の理念(第7条)
第2節 環境基本計画(第8条・第9条)
第3節 市が講ずる環境の保全等の施策等(第10条―第20条)
第4節 国及び他の地方公共団体との協力等(第21条・第22条)
第5節 地球環境保全及び国際協力(第23条)
第3章 環境審議会(第24条―第29条)
附則
私たちのまち八潮は、中川、綾瀬川など三方を川に囲まれ、川を通じて自然とふれあい、水とともに暮らしてきた。
かつては、米や野菜の生産を中心とする純農村地帯であったが、首都圏における人口と産業の集中の影響を強く受け、急速な都市化に伴い、人口の急増、工場の進出、交通量の増大等による水質汚濁、大気汚染、廃棄物の増大、悪臭など様々な公害問題が発生するなかで、緑は減少し、川は濁り、空気も汚れて豊かな環境が失われつつある。
私たちの社会経済活動は、便利さや物質的な豊かさを求めて様々な資源やエネルギーを大量に消費し、自然の再生能力や浄化能力を超えるような規模となり、その結果、地球温暖化等すべての生物の生存基盤である地球環境を脅かすまでに至っている。
もとより健康で文化的な生活を営む上で必要とされる良好な環境を享受する権利は、すべての市民が共有する権利である。また、かけがえのない限りある環境を将来の世代に引き継ぐべきことは、すべての市民の責務である。
地球環境は、資源・エネルギーの循環と動植物などをはじめとする生態系の微妙な均衡の上に成り立っているものであり、すべての生命を育む源である。
このため、私たちは、自らが環境に負荷を与えていることを深く認識し、地球環境を保全するため、市民、事業者、行政が協力して、生活様式や社会経済システムを見直し、環境への負荷の少ない持続的に発展することができる循環型社会の構築を目指していかなければならない。
このような認識の下、私たちは、共に力を合わせて、人と自然とが共生できる良好な環境を保全及び創造し、環境への負荷の削減を推進し「水と緑にふれあえる、環境にやさしいまち八潮」を創りあげていくためにこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全等について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来にわたって市民の健康で快適かつ文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(1) 環境の保全等 環境の保全及び創造(良好な自然環境が回復する条件の創出及び良好な生活環境等の創出)をいう。
(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
(3) 循環型社会 廃棄物等の発生を抑制し、排出されたものをできるだけ資源として循環的に利用し、及び循環的に利用できないものを適正に処分することを徹底することにより、天然資源の消費が抑制され、環境への負荷が低減される社会をいう。
(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生じることをいう。
(5) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全をいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全等は、市民が健康で快適かつ文化的な生活を営む上で必要とされる良好な環境を享受するとともに、人類の存続基盤である環境が将来にわたって維持されるように適切に推進されなければならない。
2 環境の保全等は、すべての者が環境への負荷を低減することその他の環境の保全等に関する行動を自主的かつ積極的に行うことにより、資源やエネルギーを有効に活用する持続可能な循環型社会が構築されるように推進されなければならない。
3 環境の保全等は、人と自然とが共生し、及び環境への負荷の少ない社会が構築されるよう、すべての者の公平な役割分担の下に推進されなければならない。
4 環境の保全等は、地域の環境が地球全体の環境と深くかかわっていることを考慮し、すべての者が自らの問題としてとらえ、それぞれの日常生活及び事業活動において推進されなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、基本理念にのっとり、自らの施策の実施に伴う環境への負荷の低減に努めるものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずるばい煙、汚水、廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては、次に掲げる事項に努めなければならない。
(1) 事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずること。
(2) 事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷を低減するために必要な措置を講ずること。
(3) 再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用すること。
3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他の環境の保全等に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。
第2章 環境の保全等に関する基本的施策等
第1節 施策の策定等に当たっての環境優先の理念
(環境優先の理念)
第7条 市は、すべての施策の策定及び実施に当たっては、環境優先の理念の下に、環境への負荷の低減その他の環境の保全等について必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第2節 環境基本計画
(環境基本計画)
第8条 市長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、八潮市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。
2 環境基本計画は、環境の保全等に関する次の事項を定めるものとする。
(1) 長期的な目標及び施策の方針
(2) 施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ八潮市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、市民及び事業者の意見を聴くために必要な措置を講ずるものとする。
5 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(環境基本計画との整合)
第9条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るものとする。
第3節 市が講ずる環境の保全等の施策等
(報告書の作成)
第10条 市長は、環境の状況及び環境の保全等に関して講じた施策に関する報告書を作成し、これを公表するものとする。
(環境配慮の推進)
第11条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行う事業者が当該事業を実施するに際し、その事業が環境に配慮されたものとなるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(規制措置)
第12条 市は、公害の原因となる行為及び環境の保全上の支障を及ぼすおそれのある行為に関し、必要な規制措置を講ずるものとする。
(助成措置)
第13条 市は、市民又は事業者が環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとることを助長するため、助成措置を講ずるように努めるものとする。
(資源等の循環的な利用等)
第14条 市は、市民及び事業者に対し、資源の循環的な利用、エネルギーの有効的な利用及び廃棄物減量化に努めるように必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効的な利用及び廃棄物減量化に努めるものとする。
(環境教育及び環境学習の推進等)
第15条 市は、市民及び事業者が環境の保全についての理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全等に関する活動が促進されるように、環境の保全等に関する教育及び学習の推進並びに広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(民間団体等の環境の保全等に関する活動の促進)
第16条 市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が自発的に行う環境の保全等に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(市民の意見の反映)
第18条 市は、環境の保全等の施策に市民の意見を反映できるように、必要な措置を講ずるものとする。
(監視等の体制の整備)
第19条 市は、環境の状況を把握し、及び環境の保全等に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定及び検査等の体制の整備に努めるものとする。
(総合調整のための体制の整備)
第20条 市は、環境の保全等に関する施策について総合的に調整し、及び推進するために必要な体制を整備するものとする。
第4節 国及び他の地方公共団体との協力等
(国及び他の地方公共団体との協力)
第21条 市は、広域的な取組が必要とされる環境の保全等の施策の策定及び実施に当たっては、国及び埼玉県その他の地方公共団体と協力して推進するものとする。
(民間団体との連携)
第22条 市は、環境の保全等に関する施策が民間団体等の積極的な参加と協働により効果的に推進されるよう連携に努めるものとする。
第5節 地球環境保全及び国際協力
(地球環境保全及び国際協力)
第23条 市は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全に資する施策の推進に努めるものとする。
2 市は、国及び埼玉県その他の関係機関と連携して、地球環境保全に関し、情報の提供等により、国際協力の推進に努めるものとする。
第3章 環境審議会
(環境審議会の設置)
第24条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、環境の保全等に関して基本的事項を調査審議するため、八潮市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事項)
第25条 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境の保全等に関すること。
(2) 環境基本計画に関すること。
(3) 日常生活に伴う環境への負荷の低減に関すること。
(4) 事業活動に伴って生ずる公害の防止に関すること。
(5) 自然環境の適正な保全に関すること。
(6) 地球環境保全思想の普及に関すること。
(組織)
第26条 審議会は、委員10人以内をもって組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験を有する者
(2) 関係団体が推薦する者
(3) 関係行政機関の職員
(4) その他市長が必要と認める者
(任期)
第27条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(会長及び副会長)
第28条 審議会に会長及び副会長を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選による。
3 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。
(八潮市環境審議会条例の廃止)
2 八潮市環境審議会条例(平成6年条例第18号)は、廃止する。