○八潮市男女共同参画推進条例

平成15年12月25日

条例第26号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 基本的施策(第9条―第20条)

第3章 男女共同参画苦情処理委員(第21条・第22条)

第4章 男女共同参画審議会(第23条―第29条)

第5章 補則(第30条)

附則

日本国憲法には個人の尊重と法の下の平等がうたわれており、国際社会における取組みと連動しつつ、男女平等の実現に向け様々な取組みがされてきた。また、あらゆる分野における女性に対する差別の解消を目指して、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約を軸に、男女平等のための取組みが積極的に展開され、国内及び県内においても進められてきた。しかしながら、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会慣行は依然として根強く、社会の様々な分野における男女間の格差がみられ、男女平等の実現には多くの課題が残されている。

一方、少子高齢化の進展、女性の人権を踏みにじるドメスティック・バイオレンスによる社会問題など、急速な社会情勢の変化に対応し、わたしたちのまち「やしお」が、生き生きとした活力あるまちとして、発展していくためには、男女が互いの人権を尊重しつつ、責任も喜びも分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現が重要である。

当市では、家族経営的な製造業が多く、仕事と家庭の中で、重要な役割を担う女性が多い。また、女性に比較して男性の帰宅時間は遅い傾向にあり、家事等における参画が十分でないことから、女性の家庭内負担が大きいことが挙げられる。しかし、このような女性の社会的貢献があるにもかかわらず、必ずしも男女平等は達成されていない状況である。

ここに、私たちは、男女共同参画社会の実現に向け、その基本理念を明らかにし、市、事業者及び市民の協働による男女共同参画社会を総合的に推進するため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、施策の基本的な事項を定め、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することにより、男女共同参画社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべきことをいう。

(2) 積極的格差是正措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を是正するため、必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、積極的に当該機会を提供することをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動に対する相手方の対応によって不利益を与え、又は性的な言動により相手方の生活環境を害することをいう。

(4) ドメスティック・バイオレンス 主に、夫、恋人その他の親しい関係にある男性から女性に対しての身体的、性的、心理的又は経済的な暴力をいう。

(5) 事業者 営利、非営利の別にかかわらず、市内において事業活動を行うすべての法人その他の団体をいう。

(6) 市民 市内に居住し、勤務し、又は学ぶ個人をいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを受けないこと、個人としての能力を発揮する機会が平等であることを旨として、行われなければならない。

2 男女共同参画の推進に当たっては、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会における制度又は慣行が見直され、男女が互いに平等で相互に尊重する社会を目指すこと。

3 男女共同参画の推進に当たっては、市における政策又は事業者活動の計画の立案及び決定に積極的に参画する機会が確保されることにより、男女が対等で相互に尊重しつつ協働できる社会を目指すこと。

4 男女共同参画の推進は、一方の性に偏りがちだった子育て、家事、介護その他の家庭生活における活動及び職場、学校、地域その他の社会生活における活動に、男女が互いに協力し合いながら責任を持ち活動できることを旨として、行われなければならない。

5 男女共同参画の推進は、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる場からドメスティック・バイオレンス、セクシュアル・ハラスメントその他のあらゆる形態の暴力を根絶させることを旨として、行われなければならない。

6 男女共同参画の推進は、生涯を通じて男女が互いの性を理解し合い、健康な生活を営む権利が確保されるとともに、妊娠、出産その他の性と生殖に関しては女性の身体的機能を配慮して、女性の自己決定が尊重されることを旨として、行われなければならない。

7 男女共同参画の推進に当たっては、国際社会の動向に留意すること。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進を主要な施策に位置付け、総合的に策定し、及び実施しなければならない。

2 市は、男女共同参画の推進に当たり、事業者、市民、国及び他の地方公共団体と連携及び協力して取り組むものとする。

3 市は、第1項に規定する施策を総合的に企画し、調整し、及び推進していくために必要な体制を整備するとともに、財政上の措置を講ずるように努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進について理解し、及び認識を深めるとともに、事業活動とその他の活動とを両立できる環境の整備に努めなければならない。

2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するように努めなければならない。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進について理解し、及び認識を深め、社会のあらゆる分野において主体的及び積極的に男女共同参画を推進するように努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するように努めなければならない。

(性別による権利侵害の禁止)

第7条 何人も、直接的であるか間接的であるかを問わず性別による差別的取扱いを行ってはならない。

2 何人も、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。

3 何人も、ドメスティック・バイオレンスを含む、女性に対するあらゆる形態の暴力を行ってはならない。

(公衆に表示する情報に関する留意)

第8条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び女性に対する暴力等を助長し、及び連想させる表現並びに過度の性的な表現を行わないように努めなければならない。

第2章 基本的施策

(基本計画)

第9条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 市長は、基本計画を策定するに当たっては、市民の意見を聴くとともに、第23条に規定する審議会に諮問するものとする。

3 市長は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。

4 市長は、基本計画を必要に応じて見直すものとする。

(積極的格差是正措置)

第10条 市は、社会のあらゆる分野において、男女間に参画する機会の格差が生じている場合は、事業者及び市民と協力して積極的格差是正措置が講じられるように努めるものとする。

2 市は、審議会等における委員の委嘱をする場合は、積極的格差是正措置を講ずることにより、男女間の均衡を図るように努めるものとする。

(家庭生活及び社会活動の両立支援)

第11条 市は、家庭生活及び社会活動を両立できるよう、子育て、介護等の支援を行うように努めるものとする。

(広報啓発活動の充実)

第12条 市は、男女共同参画の推進を図るため、広報活動を充実させ、事業者及び市民の理解を深めるように努めるものとする。

(教育及び学習の充実)

第13条 市は、社会のあらゆる分野における教育及び学習の場において、男女共同参画の推進に努めるものとする。

(ドメスティック・バイオレンス及びセクシュアル・ハラスメントの防止等)

第14条 市は、関係機関との連携を深め、ドメスティック・バイオレンス及びセクシュアル・ハラスメントの防止並びに被害者支援に努めるものとする。

(男女共同参画の推進に関する活動に対しての支援)

第15条 市は、事業者及び市民が男女共同参画の推進に関する活動を行う場合は、情報の提供その他の必要な支援を行うように努めるものとする。

(雇用の分野における男女共同参画の推進)

第16条 市は、事業者に対して必要に応じて、男女共同参画の推進に関する報告を求めることができる。

(起業等における男女共同参画の推進)

第17条 市は、起業を目指す女性が能力開発及び経営参画ができるように、情報の提供その他の必要な支援を行うように努めなければならない。

2 市は、商工業の経営又は農業に携わる女性が対等な構成員として経営等に参画できる機会を確保するため、情報の提供その他の必要な支援を行うように努めなければならない。

(拠点施設の設置)

第18条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を実施し、並びに市民及び事業者による活動を支援するため、総合的な拠点施設を設置するように努めるものとする。

(意識啓発)

第19条 市は、男女共同参画の推進を図るため、市の職員、教職員、事業者及び市民に対する研修会等を開催し、意識の啓発を図らなければならない。

(年次報告)

第20条 市長は、毎年、男女共同参画の推進状況及び男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を明らかにする報告書を作成し、これを公表するものとする。

第3章 男女共同参画苦情処理委員

(苦情の処理)

第21条 市長は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について、市民又は事業者からの申出を適切かつ迅速に処理するため、男女共同参画苦情処理委員(以下「苦情処理委員」という。)を置く。

2 市民又は事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策若しくは男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について苦情がある場合は、苦情処理委員に申し出ることができる。

(職務)

第22条 苦情処理委員は、前条第2項の規定に基づき苦情がある旨の申出があった場合において、必要に応じて、前条の施策を行う機関に対し、説明を求め、その保有する関係書類その他の記録を閲覧し、又はその写しの提出を求め、必要があると認めるときは、当該機関に是正その他の措置をとるように勧告等を行うことができる。

2 苦情処理委員は、必要に応じて、次条に規定する審議会に意見を求めることができる。

第4章 男女共同参画審議会

(設置)

第23条 男女共同参画を推進するため、男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第24条 審議会は、次に掲げる事務を行う。

(1) 市長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査審議すること。

(2) 男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、必要に応じ、調査し、及び市長に意見を述べること。

(3) 第22条第2項の規定により、苦情処理委員から意見を求められたときに意見を述べること。

(組織)

第25条 審議会は、委員10人以内をもって組織する。

2 前項の委員のうち、男女いずれか一方の委員の数は、委員総数の10分の4未満であってはならない。

(委員)

第26条 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 知識経験を有する者

(2) 関係団体が推薦する者

(3) 公募による市民

(4) その他市長が必要と認めた者

(任期)

第27条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 前項の委員は、再任されることができる。

(委員長及び副委員長)

第28条 審議会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。

2 委員長は、審議会を代表し、会務を総理する。

3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第29条 審議会の会議は、委員長が招集し、委員長は、その議長となる。

2 審議会の会議は、委員の過半数が出席しなければ、開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

4 審議会は、必要があると認めるときは、関係者の出席を求め、意見若しくは説明を聴き、又は必要な資料の提出を求めることができる。

第5章 補則

(委任)

第30条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(平20条例28・旧第31条繰上)

(施行期日)

1 この条例は、平成16年4月1日から施行する。ただし、第21条の規定は、平成16年10月1日から施行する。

(八潮市附属機関設置条例の一部改正)

2 八潮市附属機関設置条例(昭和57年条例第15号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成20年条例第28号)

(施行期日)

1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。

八潮市男女共同参画推進条例

平成15年12月25日 条例第26号

(平成21年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第1節
沿革情報
平成15年12月25日 条例第26号
平成20年12月19日 条例第28号