○八潮市議会基本条例

平成31年3月20日

条例第11号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 市民と議会の関係(第4条・第5条)

第3章 議会と執行機関の関係(第6条―第8条)

第4章 議会の機能強化(第9条―第15条)

第5章 議員の政治倫理(第16条・第17条)

第6章 雑則(第18条―第20条)

附則

市議会は、日本国憲法により地方自治の本旨の実現を目指すために定められた議事機関であり、地方自治法(昭和22年法律第67号)により付与された立法機能と監視機能により市長との緊張関係を保持しながら、市長とともに市民から選ばれた二元代表制の一翼を担う機関として、市の歩む方向性を決定する重要な役割を担う。

八潮市議会は、最高規範である八潮市自治基本条例(平成22年条例第23号)に定める市議会の基本理念にのっとり、市民からの信託に応えるため、市が直面する現実社会と、市に内在する問題等に真摯に向き合いながら、条例、予算等の議決、市長その他の執行機関の事務執行に対する監視、政策の提言、市民への情報提供等に努め、その権限を最大限活用することで、市民福祉の向上と八潮市のさらなる発展に寄与できるよう、議会・議員としての役割を自覚し、その職務に励むことを決意し、ここに条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市議会に関する基本的な事項を定めることにより、公正で民主的、かつ、有用な議会運営を図り、もって市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議会の責務及び活動原則)

第2条 議会は、市民の意見の把握と調整を図り、市の発展のために様々な方法から適切な選択をし、次に掲げる原則に基づき、活動を行わなければならない。

(1) 公正性、透明性等を確保し、市民に信頼される開かれた議会を目指すこと。

(2) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映させるための運営に努めること。

(3) 市の条例、規則等に対し、常に検証を行うこと。

(4) 市民の傍聴意欲が高まるように、わかりやすく工夫した議会運営を行うこと。

(議員の責務及び活動原則)

第3条 議員は、市民の代表であることを自覚し、品位を保持し、及び研鑽を積み、次に掲げる原則に基づき、活動を行わなければならない。

(1) 議会が言論の府であること及び合議制機関であることを認識し、議員相互間の自由な討議を重んじること。

(2) 市政の課題全般について、市民の意見を的確に把握するとともに、自己の能力を高めて、市民の代表としてふさわしい活動をすること。

(3) 議会の構成員として、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

第2章 市民と議会の関係

(市民参加及び市民との連携)

第4条 議会は、議会の活動に関する情報公開・共有を徹底し、説明責任を十分に果たし、及び市民が議会活動に参加する機会を確保する。

2 議会は、議会報告会等を開催し、議会活動に関する情報を積極的に公開するとともに、市民の意見を把握して、議会活動に市民の意見を反映させる。

3 議会は、重要な政策等を提案する場合は、当該政策等の案をあらかじめ公表し、市民の意見を求めるものとする。

(広報)

第5条 議会は、市民が会議における決定の過程及び結果に関する情報を入手することができるよう、広報紙の発行、インターネットの利用その他の方法により広報の充実に努める。

第3章 議会と執行機関の関係

(議決事件)

第6条 地方自治法第96条第2項の規定に基づく議会の議決すべき事件は、必要に応じて随時、追加等するものとする。

2 議会の議決すべき事件は、別に条例で定める。

(反問権)

第7条 本会議又は委員会において、議員の質問に対して答弁をする者は、論点を明確にし、議論を深める目的で、議長又は委員長の許可を得て反問することができる。

(議会審議における論点情報の形成)

第8条 議会は、市長が提案する重要な政策について、議会審議における論点情報を形成し、その政策水準を高めることに資するため、市長に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策の発生源及び提案に至るまでの経緯

(2) 政策効果

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 市民参加の実施の有無及びその内容

(5) 総合計画との整合性

(6) 財源措置

第4章 議会の機能強化

(多様性の尊重)

第9条 議会は、議会の機能強化のため、議会活動と、育児・介護等が両立できる環境整備等に努め、多様な立場の市民の声が反映されるようにしなければならない。

(専門的識見の活用)

第10条 議会は、必要に応じて専門的識見を活用し、議会の審議に反映させるよう努めるものとする。

(議員研修の充実強化)

第11条 議会は、議員の政策形成、立案能力等の向上を図るため、議員研修を実施する。

2 議会は、議員研修の充実及び強化に当たり、広く各分野の専門家、多様な立場の市民等から情報を得て、研修会、研究会等を積極的に開催する。

(議会図書室の充実強化)

第12条 議会は、議員の議会における審議及び調査研究に資するため、議会図書室について、必要な資料等の収集保管のみならず、議員に積極的な情報提供を行う機能の充実強化を図る。

(議会事務局)

第13条 議会は、議会が円滑に運営され、かつ、議員による政策立案及び提言に関する活動が活発に行われるよう、議会事務局の体制の充実に努めるものとする。

(防災)

第14条 議会は、市民の生命、身体、財産及び生活の平穏を守るため、積極的に市の防災に取り組み、関わるものとする。

(予算の確保)

第15条 議会は、二元代表民主制の趣旨を踏まえ、議会が議事機関としての権能を確保するとともに、より円滑な議会運営を実現し、かつ、政務活動機能の充実を図るために必要な予算の確保に努めるものとする。

第5章 議員の政治倫理

(議員の政治倫理)

第16条 議員は、市民の代表としての名誉と品格を損なう行為、及びその地位を利用して不正の疑惑を持たれる行為を慎み、議員としての責務を正しく認識し、議会の一員として、その使命の達成に努めなければならない。

2 議員の政治倫理に関し基本となる事項は、別に条例で定める。

(政務活動費)

第17条 議員は、政務活動費は議員の調査研究その他の活動に資するための経費の一部として交付されるものであり、議員個人の政治活動や私的な活動のための経費に充てることはできないことを自覚し、有用にこれを活用するとともに、使途の透明性の確保に努めなければならない。

2 政務活動費に関し必要な事項は、別に条例で定める。

第6章 雑則

(議会改革の推進)

第18条 議会は、議会改革の推進に努めるものとする。

(他の条例との関係)

第19条 この条例は、議会に関する基本的な事項を定める条例であり、議会に関する他の条例その他の規程を制定し、又は改廃する場合にあっては、この条例との整合性を図るものとする。

(検討)

第20条 議会は、この条例の施行後、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案し、必要があると認めるときは、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

八潮市議会基本条例

平成31年3月20日 条例第11号

(平成31年3月20日施行)