○八潮市まちの景観と空家等の対策の推進に関する条例
平成28年6月20日
条例第25号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 空家等の対策(第8条―第13条)
第3章 特定居住物件等の対策(第14条―第19条)
第4章 緊急安全措置等(第20条・第21条)
第5章 補則(第22条―第25条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、適切な管理が行われていない建築物等が、その使用の有無を問わず、景観、衛生、防災、防犯等の市民の生活環境に深刻な影響を及ぼすことに鑑み、市民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図るため、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)を円滑かつ公平に運用するために必要な事項及び特定居住物件等の対策に関し必要な事項を定めることにより、これらの建築物等に対する施策を市、市民、関係団体及び事業者の協働により推進し、もって市民が安全にかつ安心して暮らせる良好な街並みの形成に寄与することを目的とする。
(1) 建築物等 建築物又はこれに附属する工作物及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。次号において同じ。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
(2) 空家等 建築物等のうち居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物又はこれに附属する工作物及びその敷地をいう。
(3) 管理不全状態 次に掲げるいずれかの状態をいう。
ア そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
イ そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
ウ 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
エ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
(4) 特定空家等 管理不全状態であると認められる空家等をいう。
(5) 特定居住物件等 管理不全状態であると認められる建築物等(空家等を除く。)をいう。
(6) 所有者等 所有者又は管理者をいう。
(7) 市民 市内に住む者又は市内で働く者、学ぶ者若しくは事業その他の活動を行う個人若しくは団体をいう。
(8) 関係団体 空家等及び特定居住物件等の対策に関連する団体をいう。
(9) 事業者 市内において不動産業、建設業その他の空家等の活用等と関連する事業を営む者をいう。
(基本方針)
第3条 空家等及び特定居住物件等に対する施策は、次に掲げる基本方針に基づき、推進するものとする。
(1) 空家等及び特定居住物件等の発生の予防に係る対策については、建築物等が次の世代に円滑に継承されること及び建築物等を適切に管理し良好な街並みの景観を地域として維持することを重視し、これらの建築物等の発生の予防が図られること。
(2) 空家等の活用及び流通に係る対策については、空家等及び除却した空家等に係る跡地を地域の資源として捉え、積極的な活用及び流通が図られること。
(3) 管理不全状態の建築物等への対策については、建築物等の所有者等及び占有者による建築物等の適切な管理並びに市による建築物等の管理状態等の状況に応じた段階的な指導等により、管理不全状態の改善が図られること。
(4) 前各号の対策は、地域のまちづくりを行う上での課題として捉え、建築物等の所有者等及び占有者だけでなく、市、市民、関係団体及び事業者との相互の協力により行われること。
(所有者等及び占有者の責務)
第4条 建築物等の所有者等及び占有者は、当該建築物等を適切に管理し、管理不全状態としないよう努めなければならない。
2 空家等の所有者等は、当該空家等を活用し、又は流通させるよう努めるものとする。
3 特定空家等の所有者等並びに特定居住物件等の所有者等及び占有者は、管理不全状態を改善しなければならない。
(市の責務)
第5条 市は、空家等及び特定居住物件等に関する施策を総合的に推進するものとする。
2 市は、建築物等の管理不全状態の改善に向け、建築物等の所有者等及び占有者、市民、関係団体並びに事業者の参加及び協力を促進し、必要な支援を行うものとする。
3 市は、空家等及び特定居住物件等の情報の把握に関し、市民及び関係団体と協力して必要な調査を行うものとする。
(市民の責務)
第6条 市民は、空家等及び特定居住物件等に関する情報を市に提供するよう努めるとともに、空家等の発生の予防、活用、管理不全状態の改善等に協力するよう努めるものとする。
(関係団体及び事業者の責務)
第7条 関係団体は、空家等の所有者等並びに特定居住物件等の所有者等及び占有者からの相談に応じるよう努めるものとする。
2 事業者は、空家等及び除却した空家等に係る跡地の活用及び流通の促進に努めるものとする。
第2章 空家等の対策
(空家等の立入調査等)
第8条 市長は、法第9条第1項の規定により、空家等の所在及び当該空家等の所有者等を把握するための調査その他空家等に関し法及びこの条例の施行のために必要な調査を行うことができる。
2 市長は、法第9条第2項の規定により、法第22条第1項から第3項までの規定の施行に必要な限度において、市長が指定する職員(以下「指定職員」という。)又はその委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができる。
3 市長は、前項の規定により指定職員又はその委任した者を空家等と認められる場所に立ち入らせようとするときは、法第9条第3項の規定により、その5日前までに、当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
4 第2項の規定により空家等と認められる場所に立ち入ろうとする者は、法第9条第4項の規定により、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
5 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(令6条例10・一部改正)
(特定空家等の認定)
第9条 市長は、空家等が管理不全状態にあると認められるときは、当該空家等を特定空家等に認定することができる。
(特定空家等に対する措置の助言又は指導)
第10条 市長は、法第22条第1項の規定により、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次条第1項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
(令6条例10・一部改正)
(特定空家等に対する措置の勧告)
第11条 市長は、前条の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、法第22条第2項の規定により、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
(令6条例10・一部改正)
(特定空家等に対する措置の命令)
第12条 市長は、前条第1項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、法第22条第3項の規定により、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
(令6条例10・一部改正)
2 前条の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者(以下この項において「命令対象者」という。)を確知することができないとき(過失がなくて第10条の助言若しくは指導又は第11条の勧告が行われるべき者を確知することができないため前条に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、市長は、法第22条第10項の規定により、当該命令対象者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者(以下この項において「措置実施者」という。)にその措置を行わせることができる。この場合においては、市長は、その定めた期限内に命令対象者においてその措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは市長又は措置実施者がその措置を行い、当該措置に要した費用を徴収する旨を、あらかじめ公告しなければならない。
(令6条例10・一部改正)
第3章 特定居住物件等の対策
(特定居住物件等の立入調査等)
第14条 市長は、特定居住物件等の所在並びに当該特定居住物件等の所有者等及び占有者を把握するための調査その他特定居住物件等に関しこの条例の施行のために必要な調査を行うことができる。
3 市長は、前項の規定により指定職員又はその委任した者を建築物等に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、当該建築物等の所有者等及び占有者にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等及び占有者に対し通知することが困難であるときは、その旨を公告することをもって足りる。
4 第2項の規定により立入調査をし、又は質問しようとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
5 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(特定居住物件等の認定)
第15条 市長は、建築物等が管理不全状態にあると認められ、かつ当該建築物等が空家等でないときは、当該建築物等を特定居住物件等に認定することができる。
(特定居住物件等に対する措置の助言又は指導)
第16条 市長は、特定居住物件等の所有者等及び占有者に対し、当該特定居住物件等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採、敷地に堆積している物品等の適切な処理その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定居住物件等については、建築物の除却を除く。次条第1項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
2 市長は、特定居住物件等の所有者等及び占有者が自ら管理不全状態を解消することが困難であると認めるときは、必要に応じて市民及び関係団体と協力して、特定居住物件等の管理不全状態を改善するための支援を行うことができる。
(特定居住物件等に対する措置の勧告)
第17条 市長は、前条第1項の規定による助言又は指導をした場合において、なお当該特定居住物件等の状態が改善されないと認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採、敷地に堆積している物品等の適切な処理その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
(特定居住物件等に対する措置の命令)
第18条 市長は、前条第1項の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
第4章 緊急安全措置等
(緊急安全措置)
第20条 市長は、建築物等の管理不全状態に起因して、人の生命、身体又は財産に危害が及ぶことを避けるため緊急の必要があると認めるときは、当該建築物等の所有者等及び占有者の負担において、これを避けるために必要最小限の措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。
2 市長は、前項の措置を講じたときは、当該建築物等の所在地及び当該措置の内容を当該建築物等の所有者等及び占有者に通知をしなければならない。ただし、所有者等及び占有者又はその連絡先を確知することができない場合にあっては、その旨を公告することをもって足りる。
3 第1項の措置を行おうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
第5章 補則
(協議会)
第22条 法第8条第1項の規定により、八潮市まちの景観と空家等対策推進協議会(以下この条において「協議会」という。)を設置する。
2 協議会は、次に掲げる事務を所掌する。
(1) 法第7条に規定する空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する事項について調査審議すること。
(2) 特定居住物件等の対策計画の作成及び変更並びに実施に関する事項について調査審議すること。
3 前2項に定めるもののほか、協議会に関し必要な事項は、規則で定める。
(令6条例10・一部改正)
(審議会)
第23条 特定空家等及び特定居住物件等に関する事項を調査審議するため、八潮市特定空家等・特定居住物件等調査審議会(以下この条において「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、次に掲げる事務を所掌する。
(1) 特定空家等又は特定居住物件等の認定に関する事項について調査審議すること。
(2) 特定空家等に対する措置の勧告及び行政代執行に関する事項について調査審議すること。
(3) 特定居住物件等に対する措置の勧告、命令及び行政代執行に関する事項について調査審議すること。
3 前2項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、規則で定める。
(関係機関との連携)
第24条 市長は、必要があると認めるときは、市の区域を管轄する警察その他の関係機関に対し、建築物等の管理不全状態の改善のために必要な協力を要請することができる。
(委任)
第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第3章の規定は、平成28年10月1日から施行する。
(特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和40年条例第2号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
(八潮市附属機関設置条例の一部改正)
3 八潮市附属機関設置条例(昭和57年条例第15号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(令和6年条例第10号)
この条例は、公布の日から施行する。