入院などで医療費が高額になるとき(国民健康保険高額療養費)
更新日:2024年12月2日
高額療養費制度とは、同じ診療月の医療費の自己負担額が、世帯ごとに設定された自己負担限度額を超えた場合、超えた額を高額療養費として支給する制度です。
高額療養費の給付方法は、医療機関で医療費を支払うときに適用させる「現物給付」と、医療費を支払った後に市役所に申請し給付を受ける「償還払い」の2種類があります。
医療費を支払うときに適用させる現物給付
現物給付とは、医療機関で支払う窓口負担を自己負担限度額までにする制度です。
現物給付の適用には、マイナ保険証を利用する場合と、限度額適用認定証等を利用する場合の2通りがあります。
マイナ保険証を利用する場合
医療機関でマイナ保険証を利用していただくことで、限度額を超える支払いが不要となります。
限度額適用認定証等の事前申請は不要となりますので、便利なマイナ保険証をぜひご利用ください。
限度額適用認定証等を利用する場合
事前に国保年金課で「限度額適用認定証」等の交付を受け、医療機関の窓口で提示すると、自己負担限度額までの支払いとなります。
なお、所得区分「現役並み所得者3」と「一般」に該当する方は交付対象外です。マイナ保険証(または資格確認書)を提示するだけで、窓口の支払いを自己負担限度額までに抑えられます。
また、国民健康保険税を滞納している場合、限度額適用認定証は発行できません。
- 70歳未満および70歳以上75歳未満の住民税非課税世帯の方は、「限度額適用・標準負担額減額認定証」を交付します
- 70歳未満の課税世帯の方と70歳以上75歳未満の住民税課税世帯の方のうち現役並み所得者1、現役並み所得者2に該当する方は「限度額適用認定証」を交付します
限度額適用認定証等の申請方法
「申請に必要なもの」を持参のうえ、本庁国保年金課窓口へお越しください。
申請に必要なもの
- マイナンバーカード、運転免許証等の本人確認ができるもの
- (代理人来庁の場合)代理人の顔写真付き身分証
- (代理人が別世帯の場合)委任状
- 郵送でも申請可能です。申請書を送付いたしますのでお問い合わせください。
- 委任状の用意ができない場合は申請のみの受付となります。交付につきましては原則世帯主へ郵送となります。
医療費を支払った後に申請をする償還払い
償還払いとは、医療機関で自己負担限度額を超えて支払った場合、超えた分を高額療養費として給付する制度です。
自己負担限度額を超えて医療費を支払い、計算の結果高額療養費が発生した場合、該当世帯主に高額療養費支給申請書をお送りします。送付する時期の目安として、受診月の約3か月後に申請書を郵送していますが、医療機関や審査機関の事情により遅れる場合があります。
なお、診療月の翌月から起算して2年を過ぎると、申請をしても支給ができません。
注記:高額療養費支給申請手続の簡素化に同意いただければ、次回以降の支給については申請した振込先口座へ自動で振り込まれますので、再度の申請は不要となります
高額療養費の自己負担限度額と計算方法
国民健康保険に加入している世帯の前年中の所得に基づいて、1カ月にかかる医療費の自己負担限度額が決まります。自己負担限度額と高額療養費の計算方法については下記のとおりです。
自己負担限度額(70歳未満の方場合)
区分 | 所得要件 | 限度額 | |
---|---|---|---|
ア | 旧ただし書所得 901万円超 |
252,600円+(総医療費-842,000円)×1% (多数回該当 140,100円) |
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イ | 旧ただし書所得 600万円超から901万円以下 |
167,400円+(総医療費-558,000円)×1% (多数回該当 93,000円) |
|
ウ | 旧ただし書所得 210万円超から600万円以下 |
80,100円+(総医療費-267,000円)×1% (多数回該当 44,400円) |
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エ | 旧ただし書所得 210万円以下 |
57,600円 (多数回該当 44,400円) |
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オ | 住民税非課税世帯 | 35,400円 (多数回該当 24,600円) |
|
- 住民税の申告のない方がいる場合、アの区分とみなされます。
- 旧ただし書所得とは、総所得金額から基礎控除額を除いた額です。
- 多数回該当とは、過去12カ月間で、同じ世帯での支給が4回以上あった場合の、4回目以降の限度額を示します。
計算方法(70歳未満の方場合)
- 月の1日から末日ごとの計算です。
- 医療機関ごとに別々に計算します。
- 一医療機関で自己負担額2万1千円以上支払ったものが計算対象です。
- 同じ医療機関でも入院と外来は別々に計算します。
- 同じ医療機関でも医科と歯科は別々に計算します。
自己負担限度額(70歳以上75歳未満の方の場合)
区分 | 所得要件 | 外来(個人単位) 限度額 |
外来+入院(世帯単位)限度額 |
---|---|---|---|
現役並み所得者3 | 課税所得690万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% (多数回該当 140,100円) |
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現役並み所得者2 | 課税所得380万円以上690万円未満 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% (多数回該当 93,000円) |
|
現役並み所得者1 | 課税所得145万円以上380万円未満 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% |
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一般 | 課税所得145万円未満 | 18,000円 |
57,600円 (多数回該当 44,400円) |
低所得者2 | 住民税非課税世帯 |
8,000円 | 24,600円 |
低所得者1 | 住民税非課税世帯 |
15,000円 |
- 課税所得とは、収入から所得控除額を控除した額を示します。
- 収入の合計額が520万円未満(1人世帯の場合は、383万円未満)の場合、一般区分となります。
- 年間上限額は、8月から翌年7月までの合計額に対して適用されます。
- 多数回該当とは、過去12カ月間で、同じ世帯での支給が4回以上あった場合の、4回目以降の限度額を示します。
計算方法(70歳以上75歳未満の方の場合)
- 月の1日から末日ごとの計算です。
- 医療機関の区別をせず合算します。
- 外来は個人単位で計算し、入院を含む自己負担額は世帯単位で合算します。
計算対象外となるもの
- 差額ベッド代
- 食事代
- 保険適用外診療 など
入院時の食事代について
入院中の食事にかかる費用の自己負担額(標準負担額)は、下表のとおりです。
住民税非課税世帯の方は、現物給付を受ける場合、食事代が減額されます。
所得区分 | 限度額(1食あたり) | |
---|---|---|
住民税課税世帯 | 490円 | |
住民税非課税世帯 (70歳以上の方は低所得者2) |
90日以内の入院 (過去12カ月の入院日数) |
230円 |
90日を超える入院 (過去12カ月の入院日数) |
180円 | |
住民税非課税世帯で70歳以上の低所得者1 | 110円 |
高額療養費の計算例
(例1)70歳以上75歳未満の方が同じ月に外来と入院の支払いがあるとき
Aさん(72歳) | Bさん(72歳) |
---|---|
外来で支払った自己負担:X病院 1万円 |
外来で支払った自己負担:8千円 |
(1)外来の支給額を計算します。
Aさん:外来の自己負担額 - 外来の限度額 = 支給額(ア)
(10,000+9,000)- 18,000 = 1,000円 支給額(ア)
Bさんは自己負担限度額の18,000円を超えていないので、個人ごとの外来支給額は発生しません。
(2)外来の自己負担限度額までの負担と入院の自己負担額を合計し、そこから世帯単位の自己負担限度額を超えた額を計算します。
Aさんの外来の自己負担限度額までの負担 + Bさんの外来の自己負担額 + Aさんの入院の自己負担額 - 世帯の自己負担限度額
18,000 + 8,000 + 50,000 - 57,600 = 18,400円 支給額(イ)
(3)支給額(ア)と支給額(イ)を合算した額が高額療養費の支給額です。
1,000円 + 18,400円 = 19,400円
(例2)同じ世帯に70歳未満の方と70歳以上75歳未満の人の支払いがあるとき
Aさん(72歳)(2割負担) | Bさん(72歳)(2割負担) | Cさん(40歳)(3割負担) |
---|---|---|
外来で支払った自己負担:X病院 1万円 |
外来で支払った自己負担:8千円 | 入院で支払った自己負担:6万円 |
A、B、Cさんにかかった総医療費の合計:585,000円 (345,000(Aさん)+40,000(Bさん)+200,000(Cさん))
(1)70歳以上75歳未満の高額療養費を計算します。
例(1)のとおり→19,400円 支給額(ア)
(2)70歳以上75歳未満の自己負担限度額までの負担と70歳未満の自己負担額を合計し、そこから70歳未満の自己負担限度額を超えた額を計算します。
AさんとBさんの自己負担限度額までの負担 + Cさんの自己負担額 - 70歳未満の自己負担限度額
57,600 + 60,000 - [80,100+(585,000-267,000)×1%] = 34,320円 支給額(イ)
(3)支給額(ア)と支給額(イ)を合算した額が高額療養費の支給額です。
19,400円 + 34,320円 = 53,720円