八潮のむかしばなし(十六話)
更新日:2018年12月6日
幸之宮大尽と九ヶ村落し
(西袋・小作田・松之木)
幸之宮の飯山家は、幸之宮大尽といわれる。何でも幸之宮大尽の二、三代目のころの話だが。
鶴ヶ曽根村や松之木村、小作田村、上馬場村の四か村の悪水がはけずなんぎしたそうな。
「堀をほって、西袋村のところの綾瀬川に悪水を落したらよかんべ。」
「古利根川の川ぞいと、大原村もちはんが高いから、西袋村で落すのはよい考えだ。」
村名主たちは連署をもって、西袋村名主へ申し込むことになった。その世話人に、幸之宮大尽があたったそうな。
一方西袋村では、
「よその村の悪水をもってこられては、てーへんだ。」
「村人ぜんいんで反対することにするべー。」
と決められ、名主平太夫様から大反対をくったそうな。
幸之宮大尽は、名主平太夫様に何度もかけあった。それは、草履八足どころのお願いでもゆるされなかったそうな。そこで、幸之宮大尽は、お代官様に村の様子をみてもらうため、お出でいただいたそうな。お代官様は各村をみられたあと、幸之宮大尽の家でもてなしをうけた。
「いなかゆえ、何もありませんが。」
といって、膳に小判をのせごちそうしたんだそうな。
それからまもなくお代官様から堀をほることがゆるされた。村人はよろこび、
「反対した名主平太夫様のお屋敷をめがけてほるべー。」
ときめてほった。そして平太夫様のところで急にまげたそうな。
とくに水になんぎしていた伊草村や松之木村、小作田村などが救われたそうな。
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