八潮のむかしばなし(十九話)
更新日:2018年12月6日
流れ大師
(古新田)
古新田福蔵院のお大師様は、霊験あらたかな仏様でね。
昔、この付近が大水にあった時、お大師様が古新田に流れついた。村人は、弘法大師様が古新田に流れつかれたのは、何かいわれがあるのだろうと思い、大師堂をたてて安置することになった。
お大師様は、大水で流されてきたために、みすぼらしく傷んでいた。そこで流山の仏師屋に修理してもらうことになった。寺の世話人たちがでかける日、あいにく朝から風が吹きあれていた。そのために江戸川の幸房の渡しは、朝から船が出せずにいた。
世話人たちは、この風で渡し船に乗れるか心配であった。ところが、幸房の渡し場につくと風がピタリとやんだ。渡し船が流山につくと、もとのように風が吹きあれた。世話人たちは、これはお大師様のおかげかと思った。 ところが、修理をおえて帰るときも同じようなことがおこったので、世話人たちが霊験あらたかな大師様であることを信じたそうな。