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八潮のむかしばなし(十二話)

更新日:2018年12月6日

阿弥陀様(あみださま)朱印状(しゅいんじょう)


 家光公(いえみつこう)は、(たか)()りがおすきで、たびたび古利根川(ふるとねがわ)(たか)()りをしなさった。そのおり大経寺(だいきょうじ)さんにお()ちよりになり、本尊(ほんぞん)阿弥陀(あみだ)さまを(さん)ぱいしなさった。阿弥陀(あみだ)さまのごりっぱなお姿(すがた)をみて、大経寺(だいきょうじ)第四世(だいよんせい)重岩上人(じゅんがんしょうにん)にお()きなされた。

 将軍(しょうぐん) 「そち()(てら)は、いつ(ひら)かれたのか。」
 和尚(おしょう) 「天正(てんしょう)15(ねん)暁翁上人(ぎょうおうしょうにん)がお(ひら)きになりました。」
 将軍(しょうぐん) 「ご本尊(ほんぞん)は、どうなされたかな。」
 和尚(おしょう) 「(きょう)より開山上人(かいさんしょうにん)がお()ちになられたと、()きおよんでいます。」
 将軍(しょうぐん) 「わしは、伝通院(でんずういん)から念仏堂(ねんぶつどう)建立(こんりゅう)寄進(きしん)をたのまれておってなー。阿弥陀(あみだ)さまをご安置(あんち)したいものだ。」
 和尚(おしょう) 「・・・・・」

 しばらくして、寺社奉行(じしゃぶぎょう)みずからが大経寺(だいきょうじ)をおとずれ、阿弥陀(あみだ)さまを小石川伝通院(こいしかわでんずういん)におうつしするよう上意(じょうい)(つた)えた。(てら)では、さきの将軍(しょうぐん)さまのことで、すでにかくごはできていたので、すぐに上進(じょうしん)したそうな。

 寺領(じりょう)七石(ななこく)は、阿弥陀(あみだ)さまのかわりに寄進(きしん)されたのだとか。そんな(はなし)をきいていますよ。

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